メガソーラー問題

メガソーラーの例 / Mega-solar in Japan

今回は、旅ではなく、環境問題についての記事です。

今日本各地で、深刻な環境破壊問題が起きていることをご存知ですか?

CO2を排出しない、有害な放射性物質も使わない、自然にやさしいクリーンなエネルギーとして注目された太陽光発電ですが、悲しいことに、それが原因で日本各地で多くの環境破壊が進行しています。

English

今、何が起きているのか

旅行やアウトドアが好きな方なら既に気づいていると思いますが、ここ数年の間に特に地方を中心にメガソーラーが一気に増え、どこに行っても目にするようになりました。Google Mapの航空写真を見れば、驚くほどの数のメガソーラーが、地方の農村部や山間部で建設されていることがわかると思います。

こちらの写真は九州の杵築市に、韓国資本により建設されたメガソーラーです。小さな山が一つまるごと禿山にされ、メガソーラーへと変わってしまいました。

メガソーラーの例 / Mega-solar in Japan
メガソーラーの例 / Mega-solar in Japan

また、こちらは千葉県鴨川市の山間部です。この辺り一帯はたくさんの山と谷が連なった複雑な地形が有り、きれいな湧水が流れ、様々な動植物の住処となっている地域です。ここでもメガソーラーの建設計画が持ち上がっています。山を削り谷を埋め、平坦な大地にした後、そこに50万枚ものソーラーパネルが並べられる予定です。

鴨川の森林 / Forest in Kamogawa
鴨川の森林 / Forest in Kamogawa

これらのメガソーラーの乱開発は、様々なリスクを考慮しない不適切な自然エネルギー促進政策と、それに便乗した利益至上主義の身勝手な企業によって引き起こされました。そして政府が対策を講じないために乱開発は今もなお続いております。放っておけば、日本中が砂漠のような禿山・禿野原だらけになってしまうかもしれません。メガソーラー問題は日本の砂漠化問題なのです。

何が問題か

自然破壊 / 生物多様性の破壊

メガソーラー建設では、大規模な地形の破壊や森林伐採が行われることになります。それにより、その土地を住処としていた動物・植物・菌類など様々な生物は死に追いやられます。そして一度失われた生態系は、もう二度ともとに戻すことは出来ません。

また森林伐採と地形破壊により周辺の河川や地下水脈の水質は悪化し、その影響は遠い川や海の生き物にまで及びます。

さらにソーラーパネルからの反射光は、鳥類に悪影響を与えるほか、気温の上昇を招き、温暖化を促進する事にもなります。

景観破壊 / 観光資源の破壊

これは一番わかり易いですね。樹木が生い茂る山林の自然景観が、人工物に置き換わったら景観は台無しです。都会を離れ、自然を満喫するために旅行にでかけたのに、旅先で目にするものが都会のビルの窓ガラスと似たソーラーパネルばかりだったら、がっかりです。

災害の誘発

2018年7月の中国地方の水害では、メガソーラーが建設された斜面が崩落し、新幹線が不通になるという被害が発生しました。他にも各地で同様の被害は多数報告されました。また、2015年に茨城県で発生した鬼怒川の決壊も、メガソーラー開発が原因ではないかと言われています。

メガソーラーによる土砂災害 / Sediment disaster
メガソーラーによる土砂災害 / Sediment disaster

傾斜地で森林伐採したら土砂災害が起こるのは素人でも予想できます。コンクリートを固めたり、杭を打ったりしても、草や木の根の保持力には敵いません。メガソーラーが設置された山の斜面は、大雨や地震によりいずれ何らかの土砂災害を引き起こすことになります。また、建設費を削減するために土砂災害対策など一切行わない業者も多数存在します。彼らは「作って売れればもうおしまい。あとのことは知らない。」そう考えています。

私達にできることは?

問題の認識

まずは、状況がいかに深刻であるかを認識理解することだと思います。

2019年1月14日(月・祝)に、「全国メガソーラー問題中央集会」が、東京都中野区の「なかのZERO」で開催されます。メガソーラー問題に関する講演、各地域の反対運動を行っている市民団体からの報告、その場での署名活動などが行われます。時間のある方は是非参加していただければと思います。

全国メガソーラー問題中央集会
全国メガソーラー問題中央集会

また、「全国メガソーラー問題シンポジウム」のWebページFBページにも、メガソーラー問題に関する資料・情報が掲載されておりますので、参照してください。

情報拡散

メガソーラーは2011年の東日本大震災・原発事故以降急速に普及しましたが、それが引き起こす問題に気づいていた方は殆どいませんでした。メガソーラーの問題が広く認識され始めたのは、私の知る限り、2018年に入ってからのことだと思います。ということはまだまだ問題を認識していない方・無関心の方が多いのです。

本記事を読まれた方は是非、SNSや会話などでこの問題を拡散していただきたいです。またできれば日本国内だけでなく、世界中に拡散していただきたいです。というのはメガソーラーによる環境破壊問題は日本だけでなく、海外でも起こりうるからです。また、全世界から注目されれば、日本政府・企業が強い危機感を持ち、メガソーラーに関する政策・開発計画が大幅に見直される可能性があるからです。日本は外圧に弱い国なのです。

署名への協力

現在いくつかの地域において、メガソーラー計画に反対する市民団体による署名活動が行われております。ぜひご協力をお願いします。「メガソーラー 署名」で検索すれば出てきます。(本当はURLを貼るべきですが、すべての案件について漏れなく書くのは難しいので割愛します。)

署名なんて本当に効果があるの?って思うかもしれませんが、実際に署名によって中止になった事例はいくつもあります。

最後に

太陽光発電は、CO2や放射性物質の排出のない自然に優しい発電として広まるはずでした。ところが、リスク無視の誤った普及政策と、それに便乗した悪質な業者により、大規模な自然破壊を招く事態となってしまいました。今もなお続くメガソーラー建設ラッシュを一刻も早く食い止めなければ、日本中の森林・草原がソーラーパネルの砂漠と化してしまいます。是非問題への理解と反対運動への協力をよろしくお願いします。